抹茶の飲み方
「訪問先でいきなり抹茶が出てきて、作法がわからなくて困った!」
という感じで、作法の中で一番尋ねられることが多いのが「抹茶の飲み方」。
出す側がそんなに意識していなくても、出される側としては「ちゃんとした作法で飲まなきゃ!」とちょっと構えてしまうみたいですね。
もちろん、きちんとした作法で飲めればかっこいいし、パートナーのご両親から抹茶をふるまわれたなんてシーンであれば、ポイントアップしておくに越したことはありません。
ということで、今日は「抹茶の飲み方」の作法。私が裏千家に所属しているため、ここでは裏千家の作法をご紹介しますね。
※この記事は以前書いた「作法より大事なこと」を読んでいただいた上でご覧いただくと、よりわかりやすいかと思いますので、まだの方は下記リンクからチェックしてください!
抹茶を飲む前の準備!
まず抹茶を飲む前に注意してほしいのが、
・手が汚れていたり、ハンドクリームなどをつけている時は手を洗う
・口紅やリップをつけていたら口を拭う
・腕時計や指輪、長いネックレスはできるだけ外す
の3点です。
いずれもお茶碗を深刻に傷めてしまうことを防ぐためなので、少し面倒ですが悲劇を起こさないためによろしくお願いします!!(><)
抹茶の飲み方
それではいよいよ抹茶の飲み方です。
1、右手でお茶碗を持つ
2、左手の上に乗せて、支えるように右手を添える
3、感謝する
(無言で3㎝~5㎝くらいお茶碗を持ち上げながら頭を下げる。イメージとしては、飲み会で席が遠くて乾杯が届かない人同士がジョッキを軽く上げながら会釈するのを両手でおごそかにやる感じです)
4、正面をずらす
(右手でお茶碗を持ち、時計回りに90度×2回お茶碗を回して、お茶碗の正面を自分と反対向きにする。この時、指輪や手の脂でお茶碗を傷めないように、手の上で引きずるのではなく、持ち上げて回します。)
Q.なんで正面をずらすの?
A.正面には模様が描かれていることが多いので、口をつけることで模様を傷めないようにする意味があります。
5、再び右手を添えた状態にして、抹茶を飲む
Q.何口で飲めばいいの?
A.薄茶(いわゆる普通の抹茶)の場合は、何回に分けて飲んでも問題ないです。ただしお茶会のようにテキパキお客さんを回転させないといけない場においては、お菓子を食べながらゆっくりお抹茶を飲む、というのは片づける側がタイミングを失って困るので、お茶を飲むことに集中しましょう。
Q.飲んだら「結構なお点前で」って言えばいいの?
A.何も言わなくても大丈夫です。とはいえ、お茶を点てる(たてる)側は「ちゃんとおいしくできてるかな?」と内心ドキドキしているものなので、「おいしいです」「泡がきめ細かくてきれいですね」などと言ってあげると喜びます。「結構なお点前で」は、人によっては「なんかこいつ上から目線だな」と感じる言い方なので、自分が相手より上の立場でない限りは避けた方が無難です。
Q.飲むとき音は立てた方がいい?立てない方がいい?
A.飲み終わる時、最後の一口は軽く「ズッ」と音を立てると「ごちそうさまでした」「おいしかったです」のサインになるので立てた方がより良いですが、無理に音を出さなくても大丈夫です。
6、飲み終わったら、先ほどと逆(反時計回り)に90度×2回お茶碗を回転させ、自分側に正面が来るようにする。
7、拝見する(自分の目の前にお茶碗を置き、お茶碗の模様や形などを見る。ここでお茶碗を褒めることができたら上級者!)
Q.持ち上げて見てもいいの?
A.低い位置(畳やテーブルから5㎝以内の高さ)なら、両手で持ち上げて少し側面などを見る分には構いません。ただし模様の部分を手のひらでべったり触るのは避けましょう。
Q.お茶碗の裏には作り手のサインがあるって聞いたけど、裏も見るべき?
A.お茶碗の裏に作り手のサインが彫られていることが多いですが、ひっくり返すと落としてしまったり、飲み残しのお茶をこぼしてしまうこともありますので、見てくださいと勧められない限りは裏を見るのは遠慮しておきましょう。他の人の赤ちゃんを見に来た時、頭や手足を見ても、ひっくり返して背中までチェックしませんよね?それと同じだと思ってください。)
8、お茶碗をまた時計回りに90度×2回回して正面を向こう側にした状態で置く。(「飲み終わったので下げてください」の合図になります)
はい、これで抹茶の飲み方は完璧です!
「少し持ち上げる」などと書くと、「“少し”ってどれくらい!?」と余計わからなくなってしまう方もいるので、今回はあえて具体的な数字で高さや角度などを書きましたが、1㎝違ったから失敗ということはないです。アバウトで大丈夫。
大事なのは数字よりも、ホストが出してくれたお茶を味わい、選んでくれたお茶碗をしっかり見て、自分なりに感想を伝えて、楽しく過ごすことです。
茶道を習って特別なお稽古をしなくても、まずはこれを繰り返すだけで、出先で抹茶をふるまわれた時の対応はばっちりですし、
なんなら茶道に必要な心の半分は養えると思います。
「じゃあもう半分は?」となりますが、それは亭主(ていしゅ=ホストのこと)の心構えになりますので、お稽古が必要です。
・季節やイベント
・お客さんの好きそうなもの
・自分の持っているお道具
などを考え、自分が相手にできる一番のおもてなしをするのが茶道だからです。
とは言え、膨大な知識や立派なお道具がなくても、お客さんをもてなしたい気持ちは変わりませんよね。
あるいは、単純に自分が飲むために抹茶を点てたい!という方もいると思います。(抹茶は淹れるとか作るではなく、「点てる(たてる)」と言います)
そこで、次回は「抹茶の点て方」をやっちゃいましょう!
抹茶の粉とお茶碗・茶筅があれば気軽に始められるので、是非トライしてみてください(*^^*)